株式投資コラム-株式市場に変革をもたらした「アルゴリズム取引」とその対策方法



現在の株式市場は人工知能(AI)によるアルゴリズム取引が主流となっています。

投資家業界では単にアルゴと呼ばれることが多いのですが、このアルゴがまた投資する上で厄介な敵となっています。

上手く対処できないトレーダーは現在の市場では、非常に勝ちにくくなっているといっても過言ではありません。

このアルゴというものはいったい何なのか?という疑問を現役トレーダーである私が実践的な角度で説明させていただきます。

アルゴリズムに支配された市場

アルゴリズムに支配された市場

アルゴリズム取引とは

先ず、アルゴリズム取引(以下、アルゴ)とは、

コンピューターシステムが株価や出来高などに応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引のこと。具体的には、自らの取引によって株価が乱高下しないように売買注文を分散したり、また株価が割安と判断したタイミングで自動的に買い注文を出したりする。利用については、投資家が発注時に証券会社が提供する複数の執行ストラテジー(アルゴリズム)から、自分に合うものを選択する方法が一般的である。
機関投資家の売買注文については、従来から証券会社の電子取引執行システムを活用したダイレクト・マーケット・アクセス(DMA)により、取引所に直接、注文を自動執行する仕組みもあるが、アルゴリズム取引は、より有利な価格で約定できるための証券会社独自のノウハウをプログラミングとして盛り込んでいるのが特徴である。アルゴリズム取引は、当初は米国の機関投資家を中心に広まり、日本国内の機関投資家にも普及している。

出典:野村証券(https://www.nomura.co.jp/terms/japan/a/algorithmic.html)

と野村証券で説明されています。

そしてこの、アルゴの根幹をなしているのが 超高速取引 といわれるものです。

この超高速取引は1秒間に何千回といった取引をすることが可能です。

驚く程の速さではないでしょうか?我々、一般の個人投資家はパチパチとキーボードを打って手動で売買をしていますが、

開発資金の豊富な機関投資家はこうした超高速取引用のプログラムを開発し、日々取引を行っています。

そしてこのプログラムは、株価操作も容易に可能となっています。

例えば、1000円の銘柄があるとします。
そのプログラムに100円下げると設定しておくと、この超高速取引を使ってアルゴが100円下げて、900円の株価になるのです。

多少なりとも誤差は生まれてきますが、ほぼ正確に指定した価格に持っていく事ができるんです。

1000円の株を100万円分買うと10万円の損失ですよ・・・

そんな馬鹿な?とお思いでしょうが、この超高速取引は政府も認めているところになります。

アローヘッドとは

アローヘッド 出典:ロイター
超高速取引 出典:四季報
アローヘッド 出典:ロイター

 

この超高速取引は 2010年より東証に導入された「アローヘッド」 という取引システムにより可能になっています。

そして、今年に入り超高速取引をする取引業者は登録制になります

名目上は登録業者を監視するとのことなのですが、言いかえれば登録業者以外の者が行えば「株価操縦」で違法になるということなのですね。

ニュースとかで「株価操縦」により証券法取引違反で、誰かが捕まっているのをよく見ますが、 その誰かとは、いつも決まって個人投資家なのです 

株価操縦 出典:business journal
株価操縦 出典:ZAI

 

つまり、機関投資家が「株価操縦」をしていても捕まらないのです。

今までこれは暗黙のルールだったのですが、いよいよ正式にヘッジファンドなど機関投資家が行う場合は登録制で政府の認める所となったのです。

海外では、このアルゴ取引は規制の流れに向かっていっておりますが、日本ではますます機関投資家有利の展開へもっていかれています。

つまり 日本は株価操縦天国なのです 

大量の株式をコンピューターで瞬時に売買する「超高速取引」の事業者が1日から登録制となります。このところの株価の激しい値動きは、超高速取引の拡大が背景にあると見られていて、登録制の導入が取り引きの実態把握につながるのか注目されます。
大量の株式をコンピューターで瞬時に売買する「超高速取引」は世界的に広がっていて、取り引きの増加で市場を活性化させている一方、株価の乱高下を招いているという指摘も出ています。
こうした中、超高速取引を行っている事業者を登録制とする改正金融商品取引法が1日、施行されました。
金融庁によりますと、現在、国内で超高速取引を手がけているのは、国内外の証券会社やヘッジファンドなど70社程度だということです。
登録を受けた事業者は、システムトラブルや誤った注文を防ぐための体制を整えることや、取り引きの記録を一定期間、保存することが義務づけられます。また、問題が起きた場合は、行政処分の対象となります。

出典:NHK NEWS(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180401/k10011387241000.html)

 

個人投資家がアルゴに勝つには

登録じゃなくて規制しろよ?

「登録じゃなくて規制しろよ?」と思った投資家は多いことでしょう。

はっきり言って私もそう思っていますが、 そうそう甘くないのが資本主義の、この日本 

資本あるところの言いなりなんですね。規制するなんて言葉のかけらもない。

そしてこれがそのまま、初心者が勝てない理由でもあるのです。

言い換えれば、アルゴの概念もない者が勝てるわけがないんですよ。

向こう(機関投資家)は最新の人工知能を積んだプログラムなんですから。

そしてこの状況下でこの国は NISA(ニーサ)だとかで国民を煽って、この株式の修羅場に引き込もうとしているんです 

はっきりいって鬼ですね。

個人投資家が勝つには

では個人投資家が勝つにはどうしたらいいかといいますと、このアルゴの裏をとっていく戦法をとっていくしかないんです。

人工知能は脅威です。ありとあらゆる手を使って資産を奪ってきます。

現在はそれがますます進化していっていますから、個人投資家が劣勢に立たされるのも無理はありません。

あらゆるテクニカル

あらゆるファンダメンタル

フィボナッチ数から

心理学

板の操作まで

ありとあらゆる情報が人工知能に組み込まれ、アルゴを形成しています。

どこまで勝たせたら、さらに資金を突っ込ませることができ、どこまで下げたら損切りをさせることができるか、全て計算したうえでアルゴは動いています。

以前までは、まだステルス注文やアイスバーグ注文を見破りさえすれば、そこに勝機がありました。

しかし、現在ではアルゴはさらに進化をとげ、ステルス注文やアイスバーグ注文でさえ、騙しで使ってくるようになりました。

なかなかハイレベルな戦いになってきていますが、私はそこに活路を開いていくしかないと確信しています。

例えば、このステルス注文やアイスバーグ注文など、騙しで使ってくるという事に対しての裏を読む。

つまり、裏の裏を読むと言う事なんです。

 騙しなのかどうか、そこを見破れさえすればアルゴに勝てるのです。 

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