テクニカル指標は万能ではありません。
もちろん、テクニカル指標にもデメリットがあります。
テクニカル指標を過信しすぎると思わぬ損失に見舞われることもあるので、ここではしっかりとテクニカル指標のデメリットについて理解しましょう。
このデメリットを理解して事前に対策をたてながら上手くテクニカル指標を使いこなせば、思わぬ損失を回避できるというわけです。
目次
テクニカル指標のデメリットとは
まず、テクニカル指標のデメリットとして
- 唐突なニュースや決算発表に弱い
- 出来高が少ない銘柄やペアには機能しにくい
- ワンテンポ遅れるテクニカル指標も多い
- 騙しが多い
などが挙げられます。
では、それぞれ説明していきます。
唐突なニュースや決算発表に弱い
例えば、「仮想通貨の規制」で価格は軒並みダウンしています。
こういった外部要因での下げではテクニカル指標はあまり意味をなしません。
出展:Bloomberg
大きなニュースが出たり、決算発表でサプライズ発表あるなどの材料が突然出ると、価格は大きく乱高下します。
こういった場面ではテクニカル指標はあまり意味をなさなくなります。
もちろんバッドニュースでも同じで、負の材料が出てしまうと大きく価格を落としてしまう可能性は大となります。
また、個別銘柄や個別のペアのニュースに限らず、時期によっては特定の国の状況が価格に大きな影響を与える事があります。
こうした時期の価格は、テクニカル指標よりも、どんなニュースが出るかによって左右されやすいと考えるべきです。
出来高が少ない銘柄や通貨には機能しにくい
スイングトレードでの銘柄選びでは、買いたいときに買うことができ、また売りたいときに売ることができるような、普段から活発に売買されている銘柄やペア、通貨での取引を心がけるべきです。
これは、売りたいときに売れなくなるリスクを避けるためにも必要なことですが、そもそも出来高が少ない銘柄だとテクニカル指標が機能しないことが多いのです。
テクニカル指標は、売買している投資家の買いたいという力と売りたいという力の関係を読み取るものですが、出来高が少ない銘柄は特定の投資家の思惑に影響を受けやすくなり、結果としてテクニカル指標はあまり意味をなさなくなるのです。
ワンテンポ遅れるテクニカル指標も多い
テクニカル指標は過去の価格の値動きや出来高から算出されますが、そのため、売買のサインが遅れて出ることも多いです。
例えば、価格が上昇し始めてしばらくしてから買いのサインがでたりすることもよくあるのです。
初心者はまず上昇トレンドに乗って利益を得ることを狙うべきですが、上昇トレンドがまだ継続するのか、つまり上値余地があるのかは確認してからポジションをもつことにしましょう。
騙しが多い
テクニカル指標では騙しというものがあります。
買いのサインを確認しても、結局はその買いのサインを打ち消す動きになってしまうことはよくあることです。
上のチャートを見ると、ゴールデンクロスをしてもその後すぐにデッドクロスしてしまっています。
今回は移動平均線で例をみましたが、これに限らず騙しはどんなテクニカル指標でもあるものと考える必要があります。
これら騙しには複数のテクニカル指標を使ったり、損切りで対応することが重要になります。
騙しがある以上、一つ一つのトレードで勝とうと思いすぎることは避け、トレード全体のトータルで勝てるように心がけるようにしましょう。
以上、テクニカル指標のデメリットでした。
デメリットを観戦に避けることはできませんが、デメリットがあることを知った上でトレードができるなら、その対処も先手先手と打てることだと思います。
大切なことは何事も決めつけることではなく、様々な展開の可能性を想像しつつトレードをしていくことです。
思い込みでトレードすることが一番の負けの原因になるからです。
デメリットへの対策
テクニカル指標にはデメリットがいくつもありますし、必ず勝てるわけでもないのですが、テクニカル指標を使う人が圧倒的に多くなっています。
その理由として、テクニカル指標を使う事によって勝てる可能性が高くなるという一定の評価を受けているからです。
デメリットへの対策をあらかじめ練り、勝てる可能性を高めていきましょう。
では、デメリットの対策として
- ニュースに左右されている相場状況では取引しない
- 銘柄や通貨選びに気を付ける
- 損切り
- 出来高の考え方を取り入れる
などが、挙げられます。
ではそれぞれ説明していきます。
ニュースに左右されている相場状況では取引しない
世界情勢が不安定で、日々配信されるニュースで相場が乱高下する時期がありますが、こうした時期は取引を控えましょう。
また、決算の発表予定スケジュールはあらかじめ公表されています。
決算がサプライズ発表となると価格が大きく乱高下することもあるので、もし買おうかどうか検討している銘柄が、決算を間近に控えているのであれば取引は控えることが賢明です。
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銘柄や通貨選びに気を付ける
初心者のうちは売買高が大きめの大企業の銘柄や、仮想通貨ではメジャーコイン(ビットコイン、イーサ、リップルなど)の通貨を選ぶといいでしょう。
流動性リスクを避け、買いたいときに買うことができ、売りたいときに売れる銘柄やペア、通貨での取引が基本となります。
流動性リスクは、資産運用において、マーケット(市場)で取引高が少ないため、株式や債券などを換金しようと思った時に、すぐに売れなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスクをいいます。これは、大きく分けて、市場性があまりない商品自体(銘柄やペア、通貨)によるものと、異常事態の市場状況によるものとがあり、一般的には、市場で売買される量が極端に少なかったり、市場が大暴落したり、また戦争や自然災害などで突然取引ができなくなったりした場合に起こることがあります。
損切り
スイングトレードで予期せぬことが起きた際には、損切りで対応するのが一般的です。
利益を出すために取り組んでいる短期投資で損を確定することはなかなかやりずらいものですが、損切りは、利益を出すための正しい行動だと考えましょう。
出来高の考え方を取り入れる
出来高は価格に先行するという言葉があります。
ワンテンポ遅れるテクニカル指標が多いことは前述したとおりですが、出来高の考えを取り入れることでいち早くタイミングを捉えることも可能になります。
出来高を考慮することは騙しの対策としても効果的だと言えます。
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以上がテクニカルの対策方法でした。
特に最後の出来高に関する考え方は重要になりますので、積極的に取り入れていくようにしましょう。
では次に各テクニカル指標の紹介をします。
一言にテクニカル指標といっても種類がたくさんあります。
全てを使いこなす必要はないですが、勝ちパターンをつくり出すためにいろいろと試みるのも大切ですね。
トレンドフォロー系テクニカル指標
トレンドフォロー系は、相場のトレンドがどちらの方向に向かっているのかを確認するために使用するテクニカル指標 です。初心者の段階では上昇トレンドに乗って利益を得ることを目指すことが重要です。
なぜなら、下降トレンド時に買いのポジションをとることはリスクも高く、大きな損失につながりやすいからです。
トレンドフォロー系の指標には、
- 移動平均線
- 一目均衡表
- パラボリック
- ボリンジャーバンド
- MACD
などがあります。
これらは、トレンドフォロー系の指標の中でも、特に使いやすく人気の高い指標です。
それぞれ使い方や特徴が異なりますので、しっかりと学習し、実戦で使えるようにマスターしていきましょう。
移動平均線
移動平均線とは、一定期間の価格の平均値を線としてつなぎ合わせたもので、相場の方向性を確認するテクニカル指標です。
一般に株価チャートを見るとローソク足のならびにあわせるように2本または3本の線が絡むように配置されています。
これら3つの移動平均線の関係性から状況を把握する方法が一般的な使い方となります。
一目均衡表
一目均衡表とは、日本人によって考案されたテクニカル指標です。
考案者は一目山人(いちもくさんじん)という方で、そのハンネの名から因んで一目均衡表という名づけられたました。
「ごちゃごちゃしていて見にくいな」と思った方も多いかと思いますが、慣れてしまえば優秀なテクニカル指標ですので、勝率もぐっと上がります。
パラボリック
パラボリックとはJ.W.ワイルダー氏が開発したSAR(ストップ&リバースポイント)というラインを用いたテクニカ指標です。
パラボリックには「放物線」という意味があり、SAR(ストップ&リバース)という点を結ぶと放物線になることから「パラボリック」と呼ばれています。
描かれた放物線(SAR)と実際の価格の交差するポイントが売買転換点を示しており、途転(ドテン)を繰り返して行うのがパラボリックの使い方になります。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは1980年頃に米国人投資家のジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標です。
平均移動線を進化させてもので、相場の振れ幅(ボラティリティ)を統計学に基づいてつくられた指標です。
その精度の高さから多くの投資家に愛用され、信頼度の高い指標と定評があります。
MACD
MACDとは移動平均線をさらに見やすく進化させた人気のトレンドフォロー系と、買われ過ぎ売られ過ぎを把握できるオシレーター系の要素を併せもったテクニカル指標です。
特徴としましては、テクニカル指標の中でも比較的 騙しが少なく、初心者でもトレンドを見るのにわかりやすい人気の指標となっています。
オシレーター系テクニカル指標
オシレーター系は、買われ過ぎ、売られ過ぎを判別するためのテクニカル指標 です。上昇トレンドだからといっても、青天井に価格が上昇して行くわけではありません。
上昇トレンドだからと安心して買いポジションを持つのではなく、このオシレーター系テクニカル指標で上値余地いて確認するようにしましょう。
オシレーター系の指標には、
- ストキャスティクス
- RSI
- DMI
などがあります。
これらは、トシレーター系の指標の中でも、特に使いやすく人気の高い指標です。
それぞれ使い方や特徴が異なりますので、しっかりと学習し、実戦で使えるようにマスターしていきましょう。
ストキャスティクス
ストキャスティックスは1950年代にジョージ・レイン(George Lane)によって考案されたテクニカル指標です。
半世紀以上前に生み出されて、いまだに人気が高い指標で、トレンドがない相場でも売られ過ぎ、買われ過ぎを判断する万能テクニカルツールといえます。
RSI
RSIとはRelative Strength Index(相対力指数)を略したもので、投資家の心理を把握しようとした指標です。
RSIは米国テクニカルアナリストのJ.W.ワイルダーによって開発された、テクニカル指標です。
RSIは、ある期間の値動きに対して、どれくらい価格が上昇したかの割合をグラフに表した指標で、その割合によって買われ過ぎか売られ過ぎかを判断します。
DMI
DMIとは、市場の状態を見極めるために、米国テクニカルアナリストのJ.W.ワイルダーによって考案されたテクニカル指標です。
RSIやストキャスティクスなどは逆張り系のオシレーター系指標なのですが、一方に強く傾くトレンドの相場ではほとんど機能しません。
その欠点をカバーするための順張りのオシレーター系指標として、トレンドの有無と強弱を探ろうと考案されたものです。
需給系テクニカル指標
相場における価格だけではなく、売買の出来高(ボリューム)を分析するテクニカル指標です。
「出来高は価格に先行する」と言われるように、価格が上昇するときは出来高を伴うことが多く、価格が下落するときは出来高がほそることが多いです。
この出来高がどれだけあったかを元に、買われすぎか売られすぎかを判断する指標となります。
需給系の指標には、
- 出来高移動平均線
- ボリュームレシオ
などがあります。
これらは、需給系の指標の中でも、特に使いやすく人気の高い指標です。
それぞれ使い方や特徴が異なりますので、しっかりと学習し、実戦で使えるようにマスターしていきましょう。
出来高移動平均線
出来高移動平均線とは、価格の移動平均線と同じように2種類の指定した期間の出来高の移動平均線から、相場の過熱感を調べる時に用いられるテクニカル指標です。
「出来高は価格に先行する」という言葉があるくらいで。投資をする上では重要な指標になってきます。
ボリュームレシオ
ボリュームレシオとは相場における価格だけではなく、売買の出来高(ボリューム)を分析するテクニカル指標です。
「出来高は価格に先行する」と言われるように、価格が上昇するときは出来高を伴うことが多く、価格が下落するときは出来高がほそることが多いです。
この出来高がどれだけあったかを元に、買われすぎか売られすぎかを判断する指標となります。
今回紹介したテクニカル指標に限らず、テクニカル指標は銘柄や通貨に合わせて使い分けることをお勧めします。
過去のチャートからテクニカル指標の動きの相性を確認することで、相場でより勝ちやすくなるのです。